第四章 合気道技法の「実戦性」とは何か(7)
第四章 合気道技法の「実戦性」とは何か(7)
実際に大東流や合気道などで展開されている逆手(関節技)は実戦ではなかなか掛けることができない。それは合気道の系統で試合ができないことにも表れている。一応、合気道では理念として試合をしない、ということになっているが、試合を行っている会派ではおおよそが「打ち合い」になってしまい、関節技はほとんど見ることができない。また投げを使っていてもそれは柔術や柔道の技である。つまり合気道系で競技試合ができないのは理念的(万有愛護の思想)なものと並んで逆手技が掛けにくいという現実もあることを忘れてはならない。早くから合気道の試合化を模索していた富木謙治は柔道の出身であることもあって、競技試合の「合気道」は柔術技法を取り入れるなどしている。これは試合競技としての合気道を「柔道の枠組み」に入れることを志向しているようである。実際、合気道の競技試合は「柔道第荷二乱取り法」と称されていた。これには富木が講道館から合気道を柔道に取り入れるために派遣されたとという歴史的な経緯も関係していよう。