第一章 塩田剛三と金魚(20)

 第一 塩田剛三と金魚(20)

塩田剛三が金魚の動きを見て合気道の身法の奥義を悟ったことは冒頭でも触れたが、「魚」の動きに奥義を見るということでは太極拳の双魚図を想起しないではおれない。おそらく塩田が見たのも太極拳の双魚図と同じシンボルであったのではなかろうか。金魚鉢の淵を叩いた時に金魚の反応する「機」と全身が協調して動く姿、そうしたものを塩田は金魚から見出したのであり、太極双魚図を奥義を表すシンボルと感得した人物も同様にそこにそうした自然の「妙」を見たのであろう。自然の全ては「師」であるとする教えもあるが、やはりそれを技術として表現しようとするのであれば一定の傾向、偏りを持つことは仕方のないことである。そうした中で合気道と太極拳は「魚」という共通のシンボルを持っている。それはどうしても「魚」でなければ表すことのできないものが存していたということなのである。

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