第一章 塩田剛三と金魚(18)

 第一 塩田剛三と金魚(18)

硬打とは半身ならほぼその姿勢のままで力を発するもので、大きく「打つ」という動作をすることはない。その力を生み出す方法に膝と肩甲骨の使い方があるわけで、これを塩田剛三は独自に発見をしていたのである。どうして塩田はこうした武道史からすれば数百年を飛び越えるようなことを見出し得たのか。それは「武道勘」が良いからである。こう言うと身もふたもないことになるが、この「勘」は得ようとして得られるものではない。天性のものである。塩田のパフォーマンスとしてよく知られているのはロバート・ケネディの護衛官を取り押さえたというエピソードであろう。小柄な塩田が屈強なボディーガードを抑えたことはケネディの回想録にも記されている。この時、塩田は相手に正座をするように求めた。この時点で勝負はきまっていたのである。

このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(8)

道徳武芸研究 改めての「合気」と「発勁」(6)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)