第一章 塩田剛三と金魚(17)

 第一 塩田剛三と金魚(17)

合気道の当身については井上鑑昭が「こんにゃくで鉄板を叩き割る」と教えていたようである。空手の江上茂はこれに深く共感して「柔らかな空手」を模索するようになる。ただこの方向は太極拳でいうなら陳家の身法に近いものである。通臂拳なども同様な身法を使う。一方、楊家などの太極拳や形意拳、八卦掌などでは硬打という身法を用いる。硬打では、ものを放り投げるような動きはとらない。陳家のような打ち方が主として肩甲骨の柔らかさを使うのに対して楊家などの硬打では肩甲骨と膝の抜けを使うところに違いがある。塩田剛三はこうした当身を独自に会得していたようで臂力の養成として伝えられた方法もそれを当身というところから見るならば膝の使い方の秘訣を込めているものであることが分かる。

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