第二章 感覚の伝授としての八卦拳・変架子と八卦掌(4)
第二章 感覚の伝授としての八卦拳・変架子と八卦掌(4)
八卦拳では既に触れたように八母掌を「母拳」として、羅漢拳を「砲捶」としている。これを八卦拳の定架子、活架子、変架子でいうなら、八母掌は定架子となり、羅漢拳は活架子である。変架子は八掌拳(八卦掌)とすることができる。つまり八卦掌は本来が「変」の架子であり、套路が一定しないという現象の生ずることは八卦拳の構造的なあり方として当然のことなのである。八卦拳において八卦掌は八掌拳ともいわれるようにその名称も一定していない。つまり八掌拳と称する場合は羅漢拳の系統の表現となり、八卦掌とする場合には八母掌の系統の表現となるのである。実際、八掌拳は直線を運動線とするが、八卦掌では円を運動線とする。八卦掌が流布したのはそれが自在に変化をするシステムであったためでもある。