第二章 感覚の伝授としての八卦拳・変架子と八卦掌(3)

 第二章 感覚の伝授としての八卦拳・変架子と八卦掌(3)

死套路と活套路といった基本と応用で学習過程が構成されているのは少林拳でも太極拳、形意拳、八卦拳でも共通しているが、太極拳以下の俗に「内家(拳)」とされる武術と、少林拳などの「外家(拳)」とで大きく違っているところといえば、そこに技術的なものとは別に内的な伝授がともなうところであろう。これは身体を鍛えたり、攻防の技術を習得したりする外功に対して内功と称される。内功をイメージさせる語としては「柔」であるとか「静」などがあげられよう。これらの語はまた太極拳などの秘訣(拳訣)でもある。形意拳の姜容樵は内的な武術において習得される「内功」を「天然の内功」であるとしていた。これは内功なるものは人が誰でも本来的に持っているものであることを意味している。身体を鍛えたり、技術を覚えたりすることは自分の持っていないものを得るのであるが、内功の会得とは生まれながらにして誰でも持っているものを開く作業に過ぎないとするわけである。

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