外伝3新著『植芝盛平と中世神道』について(6)

 外伝3新著『植芝盛平と中世神道』について(6)

山王神道は天台宗の止観から生まれたものであることは既に述べたが、天台宗といえば比叡山であり、比叡山といれば古代、中世は僧兵で有名であった。その勢力は強大でしばしば朝廷をも脅かした。しかし、興味深いことに僧兵がどのような武術を使っていたのかは明らかではない。それは技術ではなく内的なもの、霊的なものにその根源があったからではなかろうか。間合い、呼吸を巧みに使うような体系ではなかったか。そうした内実は、山王神道を植芝盛平の「霊視」した世界を通して紐解くことで知ることができる。合気道では呼吸投げに象徴されるように「呼吸」が重視されている。この「呼吸」こそが僧兵の使った武術の根本ではなかったかと思われるのである。

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