外伝3新著『植芝盛平と中世神道』について(5)

 外伝3新著『植芝盛平と中世神道』について(5)

山王神道のベースにあるのは天台止観である。止観そのものはやや中国化したところはあるが基本的な仏教瞑想法であるとすることができる。止観を解説した文献には『天台小止観』と『摩訶止観』がある。「小止観」はテクニックを主として説いており、これは仏教瞑想としてかなり一般的なものである。「摩訶止観」の方は天台宗によせてどのように瞑想を進めるかについて詳しく記されている。ここではただ「空」を追究するだけではなく「仮」の世界の存することを認めている。俗世もそれが存在するものとして一定の価値を認めるのであり、それを通して「空」を悟ることが可能とする。釈迦も死や老い、病気などの俗世の姿を見て悟りを得たわけである。世間の諸事象の裏に隠された真実、これはオカルト探究の基本でもある。こうした世界に山王神道は入り込んで行くことになる。

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