第九十九話 中国武術文献考(19)
第九十九話 中国武術文献考(19)
『実戦中国拳法 太気拳』は日貿出版というところから出されているが、ここはおもしろい武術の本を出しており力抜山の『秘武道 借力拳法』などという韓国系の武術を紹介したものもあった。「借力」というのは朝鮮の神秘的なエクササイズの基本にあるもので自然界に潜在しているエネルギーを借りて自分のものとしようとするものらしい。こうした秘宝は新羅時代の「ファラン(花郎)」という「結社」に淵源しているとする。そして「花郎」での秘儀は後には民間の宗教者や武術家、舞踏家などに受け継がれたとされている。個人的には「借力」はそうした「秘儀」の核心ではないかと考えている(力抜山の説く「借力」が「秘儀」を伝えるものであるかどうかは知らないが)。また日貿出版からは藤平光一の『心身統一合気道』も出ている。