外伝1綿谷雪『武芸流派大事典』のこと(1)

 外伝1綿谷雪『武芸流派大事典』のこと(1)

武芸の流派がどれくらいあるのか。それを調査することはなかなか困難であろうが、中国では民国の始めころに門派の調査がなされたようで呉図南の『国術概論』には多くの門派称が記録されてる。ただ「太極拳」といっても実際は楊家と陳家では内実が大きく異なる。また楊家と呉家でも違いを見せており、二十世の初めころに呉家を知る人が楊家を見て「同じものか」と疑問に思ったと記した本もある。細かくいえば太極拳でも楊家、呉家、孫家、武家などで風格が異なっているし、陳家も和式など地域によって独特な技術を伝承している。およそ一定の分野の「名称」を集めることは、その後に何らの「分類」を行うことで一定の隠された意味を見出そうとするところに意義がある。そうしたことができなければ「名称」のコレクション(名彙)はその必要性を見失うことになろう。中国で門派の名称を集めることが早々に止められたのはそれが意味をなさないからであり、そこに一定程度の「解説」を付するということが大切となる。

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