第九十九話 中国武術文献考(8)

 第九十九話 中国武術文献考(8)

また『陳氏太極拳図説』も有名な文献であるが一部が雑誌に翻訳されたものの完訳には至っていない。同書は前半は易について延々と説明がある。それはかつては書物の入手が難しかったために易を用いて説明をしようとするならば、易そのものが分かるような情報をも合わせて載せる方が便利であったからであるが、今では煩雑としか言えない。1949年に大陸が共産党によって統治されるようになる前後に大陸から台湾へ少なからざる武術家が渡って来たが中には『陳氏太極拳図説』や楊澄甫の『太極拳体用全書』などの本を持って来た人も居た。少し時代が落ち着くと武術家同士の間で誰それが『陳氏太極拳図説』を持っているという話が知られるようになったらしいが、直接に行って見せてもらうわけにもいかず、どうしたものかと考えているうちに世の中が落ち着いて出版されたりということがあったと聞いたことがある。同様に武術の雑誌も一人一冊といった感じで台湾に持ち込まれており台湾師範大学ではかつて目録を作ったこともある。ただこうしたものは個人の所蔵であるため既に散逸したものも多いのではないかと思われる。

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