道竅談 李涵虚(169)第十九章 性命の順逆

 道竅談 李涵虚(169)第十九章 性命の順逆

「一をもって二を兼ねる」とは、つまり気に理を付するということである。気と理が合わせられることで性と命は渾然一体となり完成体となる。「一をもって二に合わせる」とは、水をして火を弱めることである。水と火が交わって(「火加減」のよろしきを得て)性と命は長く保たれることとなる。

〈補注〉

先に「順」は儒教の方法であると述べたように、ここでは「順」を理と気で説明している。これは朱子学などでいわれている宇宙観(理気二元論)でもある。これに対して「逆」は神仙道の道であるので、水と火をもって説明する。これは陰と陽、腎と心と同じである。西派では「気」を先天から存するものとして、「理」は後天において働くものとする。一方の「逆」では「土生金」「金生水」の五行説によっている。「土」は「虚」の感覚である。その一端にでも触れることができれば「金」が生まれる。「金」は肺であるから、これは呼吸が整うということである(真息、胎息を得るという)。そうなると「金」は「水」を生むので、これをして火を鎮めることが可能となるとする。「水」は腎のことで呼吸が整うと、感情の乱れも少なくなる。そうなれば腎に発する性的な心の欲望が抑制されることになる(神仙道では「心」は離卦で「火」とされている)。

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