道竅談 李涵虚(148)第十七章 神、気、精を論ずる

 道竅談 李涵虚(148)第十七章 神、気、精を論ずる

この章では未だ先天の元神、元気、元精の働き閉じてしまっていない童子の頃に神仙道と出会ったならば特別な修行をしなくても仙人になることができるとしている。これが『西遊記』の三蔵法師である。三蔵は童子の頃に仏教に出会っているので「先天の気」がそのままに保たれている。そうであるから妖怪たちはその「肉=先天真陽の気」を美味として食べたがる。『西遊記』は仏教よりの神仙道の教えを説いているので孫悟空が最も活躍をする。空への悟りを得ることが重要と教えるわけである。また沙悟浄もいるが、この浄を悟るというのは神仙道の悟りということになる。ただ沙悟浄はあまり活躍をしない。猪八戒も仏教の戒律を象徴している。あるいは八戒を儒教のキャラクターとすれば儒、仏、道の合一の物語とすることができたであろう。中国では仏教と神仙道の融合が禅宗や神仙道の北派、清浄派で生じた。仏教を取り入れるか否かは「陰欲」を肯定するか否定するかにあった。また儒教と神仙道の融合は朱子学や陽明学に見ることができる。朱子学者や陽明学者はひたすら否定したがるが、これらは実質的には禅宗の影響が色濃く存している。禅宗は仏教と神仙道が融合して成立しているものであるから朱子学や陽明学では実質的には儒、仏、道の融合がなされたと見なすこともできる。

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