第九十八話 絶招研究 太極拳篇(12)

 第九十八話 絶招研究 太極拳篇(12)

そこで滾勁とは何か、ということになる。これは一般的には螺旋の動きといわれる。確かに表現としてはそうなるのであるが、厳密にいうなら滾勁と陳氏太極拳などの纏絲勁とは似て非なるものなのである。これを解するには「尺、寸、分」の勁を知らなければならない。「勁」とは武術的な力の使い方をいうもので、それが30センチくらいであれば「尺勁」で、3センチは「寸勁」、3ミリであれば「分勁」となる。通常の武術の動きは「尺」を以て行われる。この動きが最も大きな力を発することができるからである。これが3センチ「単位」での動き(寸)となると例えば腕の動きが突こうとしているのか、掴もうとしているのかわからなくなる。3センチ「単位」というのは3センチは動き始めた運動が継続されるが、4センチ目からは違う動きになる可能性があることを示している。これが寸勁である。劈拳を尺勁で打ったならば、掌で打つそれだけの動きとなる。しかし3センチ「単位」で変化の可能な寸勁で打ったならば、相手をとらえる場面であればそれを擒拿として途中から展開することも可能となるのである。

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