第九十八話 絶招研究 太極拳篇(3)

 第九十八話 絶招研究 太極拳篇(3)

呉家は中段の構えを重視している。これと等しく武家でも一旦、中段の構えをとってから動きに入ることが多い。呉家も武家も楊家の用法架をベースとしているので、中段の構えを強調するのは楊露禅の頃の用法架にそれがあったためと思われる。またロウ膝ヨウ歩が倒輦猴でも用いられるのも露禅用法架の特徴である。呉家が中段の構えを基本とするところから同じく中段の構えを基本とする形意拳や八卦掌との共通性が認められて双辺太極拳では呉家がベースとされ形意拳、八卦掌との融合が図られたのであった。つまり双辺太極拳では中段の構えをキーワードに太極拳の用法架としての形意拳、八卦掌への展開が可能となると考えるわけである。あえていうなら形意拳は四正推手へ、八卦掌は四隅推手への展開と位置付けることができる。八卦掌・単換掌と四隅推手の関連については、すでに前回において合気道の正面打ち一か条と等しいことを指摘しておいた。こうして見ると太極拳は形意拳(四正推手)と八卦掌(四隅推手)へと敷衍することが可能であり、またそれらを収斂したものとすることができるわけである。ちなみに四正は「直」の入身であり、四隅は「斜」の入身を練るものである。

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