第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(13)

 第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(13)

単換掌、双換掌がほとんどの八卦掌にあることは既に述べたが、龍形八卦掌ではこれに上下換掌が加わる。この上下換掌は程派などでは指天打地などと称されていて転身をして体を沈める動きとなる。龍形の双換掌は「前後」から再び「前後」の変化を重ねている。一方の上下換掌は「前後」から「上下」の変化となる。これは構造的には共に横円と縦円(双換掌)の変化で組み立てられている。つまり、これらは一見して異なる動きのように見えるが、その構造、構成は同じであり、そうであるから共に双換掌式に属するものとして「換掌」と称されているのである。一般には指天打地とされる套路を龍形八卦であえて「換掌」としているのは、単換掌式、双換掌式の考え方が正しく反映されていることを伺わせる。ちなみに単換掌は龍形では横円の動きとなっている。一方、孫禄堂の系統の八卦掌は龍形と極めてよく似ているが縦円の動きである。本来、八卦拳では縦円のみを原則として使う。それを孫派の八卦掌でも受け継いでいるわけである。龍形で横円が入るのは太極拳の影響で楊家太極拳ではほとんどが横円の動きである。こうした龍形八卦の横円の動きは太極拳によるおのと思われる。また呉家では太極拳の中でも縦円を多用する。こうしたことからして龍形の横円は、縦円に特徴を持つ呉家からの影響によると考えた方が分かりやすいように思われる。

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