第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(8)

 第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(8)

日本に「髄」(意識・呼吸)の優れた鍛錬法が伝えられているのは日本の文化そのものが呼吸、間合いを重視したものであったということにも関係していよう。つまりに日本人の持つ文化土壌がそうしたものを基盤としているので、武術においても優れた呼吸の鍛錬法が確立されたということなのであろう。ちなみに合気道の呼吸投げの練習が呼吸を会得するのに優れた方法であることを述べたが一旦、「呼吸」のタイミングを会得したなら、それを日本刀の素振りで練ることが可能である。合気道が剣術から生まれたとされるのは、おそらくは「呼吸」の共通性をいっているものと思われる。かつては「合気道は剣の動きから生まれた」とされるので、合気道の源流となった大東流を伝えた武田惣角の修行した小野派一刀流を研究する人も居たが、技術上に目立った合気道との共通点を見出すことは出来なかったようである。それは個々の刀法の身法や歩法に「源流」があるのではなく、日本刀を使う「呼吸」が共通しているからであった。

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