第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(6)

 第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(6)

相手の反応を誘う攻撃は日本の柔術の当身と同じである。当身には本当(ほんあて)と仮当(かりあて)、あるいは当(あて)と砕(くだき)があるとされているが、単換掌の第一撃は「仮当・当」であり、第二撃が「本当・砕」となる。こうした当身の奥義は天神真流など当身で知られた流派では存していたらしいが現在は既に失伝しているようである。一方、植芝盛平や塩田剛三は独自にその方法を会得していたと思われる。一般的な突きと当身の違いはおおまかにいうなら前足の膝の抜けを使うか否かにある。一般的な突きは後足の踏み込みの力と腰の回転を使うが、八卦掌や形意拳、柔術の当身は前膝の抜けを使う。これは沈身と称される。前膝の抜けを使うには入身で移動をしながら当身を打つためである。

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