第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(5)

 第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(5)

さて絶招としての単換掌であるが、これは右構えであれば初めに右掌で相手を攻撃する。相手はそれを受ける。そうなると相手の右の中段が空くので、こちらは左手で攻撃をする。これが絶招としての単換掌の仕組みである。これは死角からの攻撃であり八卦掌の特徴であって「暗」勁・陰打と称せられる。とりわけ八卦掌では「暗」の攻撃がその特徴と見なされている。中国武術には攻防の方法を「明」「暗」「化」によって区別する。またこれは「骨」「筋」「髄」に対応してもいる。つまり「明」は「骨」を練ることによって得られるもので「骨」とは体の構造のことをいう。足の位置や手の位置を適切なところに置くよう修練することで有効に体の力を出すことを学ぶわけである。つぎに「暗」は「筋」つまり触れた時の反応を使う修練となる。単換掌は相手に先に攻撃をすることで相手の反応を導き出す。こうした攻撃はどのようにして威力が発せられるのか見えないために「暗」といわれるのである。

このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(8)

道徳武芸研究 改めての「合気」と「発勁」(6)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)