第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(4)

 第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(4)

複雑になるので八卦「拳」の系統についての理論的な説明はここではしないが、こうして見ても明らかなように八卦拳においては、八卦「掌」の系統のシステムと八卦「拳」の系統のシステムの二つがあることが認められ、後に形意拳などでは専ら八卦「掌」の系統のシステムのみが「八卦掌」として取り入れられる。これはまた八卦拳の持つ理論体系からして決しておかしなことではない。形意拳においては八卦「拳」の部分が形意「拳」に置き換えられているからである。八卦拳では八卦「拳」の套路を羅漢「拳」によって編んでいる。羅漢拳は中国でも古い門派で羅漢拳を称する拳法は北方でも南方でも存していて、そろぞれ独特な套路を有している。ある意味において中国武術で最高レベルに属する形意拳をして八卦「拳」の部分に置き換えたことは八卦拳が「拳」と「掌」の二大系統を有することからすれば可能なことであり、結果としてかえって意義のあることとなったといえる。同様にこの八卦拳の理論によって高義盛は「掌」の系統の先天八卦(円周上を回る)と「拳」の系統の後天八卦六十四掌(突きや蹴りの形)を有するシステムを構築している。

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