第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(1)

 第九十七話 絶招研究・八卦掌篇(1)

八卦掌では「単換掌」が絶招とされている。八卦掌の各派には他の門派と異なり、それぞれにかなりの差異を有する套路があると見なされているが、そうした中にあっても単換掌と双換掌だけはほぼ共通してその動きのあることが認められる。一方で興味深いことに八卦掌の源流である八卦拳には単換掌はあっても双換掌は存していない。しかし双換掌式はある。八卦拳では「掌式」とされるものが八種類あり、その中に単換掌式、双換掌式があるのである。「掌式」とは八卦拳の「原理」をいうもので単換掌式の「原理」に基づいて単換掌が編まれることになる。そうであるから八卦掌諸派によって同じ単換掌でもその動きにかなりの違いがあるのは本来的に八卦拳・八卦掌がそうした形のシステムによっているからに他ならない。よく、八卦掌の套路は様々であることに疑問が持たれるが、それもここで述べているように八卦掌も八掌式の原理によって動きを編んでいくというシステムに起因しているためなのである。そうであるから八掌式をもとに八卦掌諸派の動きを見ればその基づく原理が分かるのであり、一見して異なるように見える套路も実は共通の原理を有していることを知ることが可能となるのである。

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