第九十六話 絶招研究・形意拳篇(11)

 第九十六話 絶招研究・形意拳篇(11)

車毅斎の形意拳は山西派と称され、この派には孫禄堂によって八卦掌がもたらされた。車が郭雲深の後ろに回り込むことができたのは滾勁を会得していただけではなく八卦掌の歩法を修練していたことも関係しているのではなかろうか。また既に述べたようにヨウ歩の崩拳は太極拳によるものである、それは太極拳の抽絲勁を練るための方法となっている。抽絲勁は大きなガラスの板を高いところから地面に落した時にその破片が八方に飛び散るような力であると説明される。こうした力を練るためにヨウ歩の崩拳は考案されたのである。これを形意拳のベースとなる身法である「束身」をして使おうとする。形意拳では束身で力を溜めて発する練習に震身法がある。これは体を震わせるようにして四方、八方に力を発する方法である。套路としては取り入れられていなかったが、形意拳には抽絲勁と同じ練法が存していたわけである。それを母拳(基本拳)の中に組み込んだのがヨウ歩崩拳であった。

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