第九十六話 絶招研究・形意拳篇(5)

 第九十六話 絶招研究・形意拳篇(5)

また応用としては斜めの歩法である十字の崩拳もある。これはヨウ歩の崩拳を斜めの歩法でつないで行くもので、十字崩拳は砲拳と同じ斜めからの入身の歩法である。順歩、半歩の崩拳は形意拳が槍の技法から生まれたとされるように、直線的な槍の歩法そのものである。これらでは運動線を変えることなく拳を突き出すので勢いに乗ることができる。それに対して十字崩拳では突きを出す時に斜めになるので前に進む勢いは、それを利用して拳を打つためというよりも、入り身を行うために用いられる。一般的な武術の技法とすれば順歩、半歩の崩拳の方が全く自然であり、十字崩拳は砲拳と同じく応用的な歩法の使い方をしていると見なすのが妥当であろう。また陳ハン峰の伝えたヨウ歩崩拳が体の中心で力を溜めて斜めに拳を突き出すような形となっているのは呉家の太極拳の影響によるものと思われる。

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