第九十六話 絶招研究・形意拳篇(4)

 第九十六話 絶招研究・形意拳篇(4)

崩拳は形意拳の五行拳に属している。日本で普及している五行拳の崩拳はヨウ歩(逆突き)であるが、一般的な形意拳では順歩を用いる。初めに後足を前足のすぐ横まで寄せて、前足を一歩踏み出すと同時に拳で突くのである。足を寄せることで力を蓄える「束身」となって一歩おおきく踏み出すことで力を発揮する。この時に初めに後足を寄せた時に右足であれば右拳も前に進める形になるがこれは相手を掴む意味を持っている。間合いを詰めて相手を掴んで一気に突き込むのである。五行拳のほかの技でも相手を掴んでから攻撃をする。古い時代の武術は相手を補足して固定をしてから攻撃をする場合が多い。それが極めて有利であるからである。これに対して半歩崩拳は後足を半分ほどまでしか寄せない。出す足も半歩だけとなる。そして拳はヨウ歩から順歩へと連続して突く形となる。まさに半歩の特徴はこうした連続する攻撃が可能である点にある。これらに対してヨウ歩崩拳はヨウ歩であるから当然であるが進む足と打つ拳とは反対になる。これは腰の動きをよく使うことができるが、前に進む勢いを使うという形意拳の本来のセオリーからすればやや外れることにもなる。ヨウ歩についての考察は後に行うとして、形意拳の崩拳の変遷を考えるとすれば、それは順歩から半歩、そしてヨウ歩へと変わって行ったとすることができる。順歩の崩拳は劈拳などと動きの呼吸に変わりはない。

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