第九十五話 立禅と馬歩トウ功(22)

第九十五話 立禅と馬歩トウ功(22)

後の王キョウ斎は『意拳正軌』の内容は破棄してしまったとされ、この文献は香港に持ち出されたために人々の知るところとなった。私見では『意拳正軌』は形意拳の古伝をかなり正確に記しているのではなかろうかと考える。それは混元式の捉え方にある。『意拳正軌』では混元式から武術的な力である「勁」が得られるとしているが、この場合の「勁」とは具体的にはどのような力であるのであろうか。この「勁」は人間の根源的な心身の働きである「性」に由来するものであるから、相手を助けるものでなければならない。それは「和合」の働きであり、太極拳でいうなら太和の気の働きということになる。相手を打つのではなく相手と一体となるような働きとしなければならない。これを相手を打つ力ととらえると混元式は馬歩トウ功に近づかなければならなくなる。

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