第九十五話 立禅と馬歩トウ功(13)

第九十五話 立禅と馬歩トウ功(13)

王キョウ斎(キョウは草冠に郷)は『意拳正軌』の「トウ法換勁(勁を得るためのトウ法)」に「修行を始めるに際してトウ法は実に多い。たとえば降龍トウ、伏虎トウ、子午トウ、三才トウなどである。ここではこうした煩雑さを避けて簡単にし、各トウ法の優れたところを取って、合わせて一つにしたものを混元トウといっている。これは勁を生じさせるのに有効であるし、実際の攻防にも使うことができる」と述べている。つまり意拳で中核となるのはトウ抱式(馬歩)ではなく、混元トウなのである。混元トウは形意拳に古くから伝わる功法で、たた静かに立っているだけのものである。これは太極拳でも重視する人がいる。混元トウは儒教の瞑想法である静坐と同じく一定の形はない。ちなみに「静坐」は坐禅のような坐法を用いても良いし、椅子で行っても良い。重要なことは動かないで内面を見つめることにある。そうであるからこれを立って行っても構わないことになる。「坐」には「むなしく」「なすところなく」の意もあるので、静坐は必ずしも坐るということに限る必要はないわけで「静かにむなしくしている」ということにもとれるのである。

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