第九十五話 立禅と馬歩トウ功(12)

第九十五話 立禅と馬歩トウ功(12)

いうならば「高い姿勢の馬歩」は従来の武術の鍛錬法にはなかったものなのである。そうであるならば、それがどのようにして生まれたのかというと、これは意拳で考案されたものと思われる。ただ意拳で太気拳のように馬歩トウ功(立禅)を中核的な鍛錬法としてそれをのみを長く練るかというとそうでもない。意拳で中核とされるのは混元トウであって馬歩ではない(意拳では「立禅」のような馬歩トウ功をトウ抱式という(「トウ」は手篇に掌)。これはまたトウ抱提抓トウとも称される(最初の「トウ」は手篇に掌、最後の「トウ」は椿の春の「日」が「臼」)。これは掌の形をいうもので少し指を曲げる形がものを抓(か)く(掻く)ようであるところから来ている。つまり「提抓」とは指を練る龍爪功の鍛錬のことなのである。沢井健一の示している太気拳の立禅もよくこうした指の形を示していることは、先に触れたとおりである。

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