第九十五話 立禅と馬歩トウ功(10)

第九十五話 立禅と馬歩トウ功(10)

形意拳にも馬歩のトウ功はあり、これは龍爪(龍身)功に属するものである。形意拳の鍛錬で重要なもののひとつに指功がある。指の功を練るにはその形が重要で、常に五指の先が意識できるようでなければならない。王樹金も常に指功の鍛錬をしていたという。形意拳の指功は指先の感覚を育てるもので、それにより五指につらなる経絡が開くとされる(固いものに打ち付けたりして感覚を鈍化させることはしない)。太気拳の沢井健一の示している立禅の指の形は形意拳の馬歩に近いものである。この掌の形のまま半身に構えれば三体式となる。ただ馬歩で腰を深く落とすことがなければ上半身と下半身の関係を明確に作ることができないので、通常は高い姿勢で馬歩を行うことはないし、ストレッチと同様な効果を期待しているのであるから長時間それを煉る必要もない。長くトウ功を煉る場合には馬歩だけではなく弓歩、虚歩などを組み合わせてそれらを繰り返す。馬歩に疲れたらそのまま弓歩に移り、そして虚歩をとって、また馬歩を行うというようにするわけである。これを20分から30分前後行う。

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