第九十五話 立禅と馬歩トウ功(9)

第九十五話 立禅と馬歩トウ功(9)

馬歩の鍛錬は中国武術では基本的な体を作るために欠くことのできないものとされている。それには足腰を鍛えるということもあるし、腕の位置により上半身と下半身の状況を調整してそれらの適切な関係を作るということもある。例えば八卦拳のように合掌する形であれば腰は沈んで、胸は開く形になる。ここでは腕を水平にすることで上半身を引き上げて、沈んでいる下半身と「引き合う」関係を作ろうとする。これは体をエネルギーの漲った状態にしておいて、それを緩める時に力を発するのである。一方で太極拳では掌の指先を向かい合わせる。この姿勢であれば上半身にはあまり力は入らない。太極拳では腕の重さ、沈み込みを感じることを重要と考える。その感覚が腰にまで至ると沈身が可能となる。

このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 「合気」の実戦的展開について〜その矛盾と止揚〜(3)

道徳武芸研究 両儀之術と八卦腿〜劉雲樵の「八卦拳」理解〜(2)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)