第九十五話 立禅と馬歩トウ功(8)

第九十五話 立禅と馬歩トウ功(8)

立禅を実践している人物に俳人の金子兜太が居る。金子の立禅は立ったままで亡くなった知人の名前を唱えるものらしい。これはここで述べている「立禅」ではないが、言語に敏感な俳人が立禅という語をあえて使っているのは、それが何らかの琴線に触れる語であったからではなかろうか。つまり現代人の集合無意識にあるイメージに通じるものであった可能性をこれは示しているのではなかろうか。それはともかく太気拳の立禅は伝統的な中国武術では「馬歩トウ功」と称されるものに属するとみなすことができる。ただ馬歩トウ功は低い姿勢で数分行うものであり、「立禅」のように数十分あるいは一時間ほども行うことはない。時に低い姿勢での馬歩を30分、あるいは一時間やったという人もいるが、それは一般的ではない。

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