第九十五話 立禅と馬歩トウ功(1)

第九十五話 立禅と馬歩トウ功(1)

不思議なことに現在「立禅」というと、太気拳の沢井健一が『太気拳』で公開した馬歩をベースとするトウ功が「立禅」として坐禅を紹介した文献などでも紹介されており、「立禅」は一般的に使われる言葉になりつつある(以下、高い姿勢の馬歩で胸の前あたりに腕を置くトウ功を「立禅」とする)。立禅という言い方そのものは中国にもあるし、日本では江戸時代の儒学者の記したものの中にも見ることができる。この場合には坐って行う瞑想(禅)に対して立って行う瞑想を立禅としている。また横になって行うのは臥禅、歩いて行うのは行禅などとする。こうした場合の立禅は立禅として積極的に修行されたというよりは坐禅にこだわらないという意味合いの方が大きいように思われ、それは儒教での瞑想修行において専ら坐禅を行う仏教との違いを示す意図があったに過ぎないようである。

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